モノづくりエンジニアのための情報ポータルサイト|エンジニアピット

CAREER LAB【ミドリムシが地球を救う】第1回 ミドリムシはスゴイ!

【ミドリムシが地球を救う】
第1回 ミドリムシはスゴイ!
CATEGORYトレンド
DATE2017/01/11

「ミドリムシ」と聞くと、筆者は小学生の時の夏休み自由研究を思い出します。池や田んぼで採集してきた水を顕微鏡でのぞくと、最も簡単に見つかるのは緑藻類の「アオミドロ」でした。それとともに「ミドリムシ」も見かけました。ウキペディアに「淡水ではごく普通に見られる生物である」との記載がありますが、実感があります(筆者は、昭和生まれの地方都市育ち)。

さて、このミドリムシ、近頃話題になっています。なぜか。理由は卵が先か鶏が先かの関係ですが、2つあります。
1 「ミドリムシ」それ自体が持つ性質が優れている。
そして、
2 製品として開発して販売している企業がすごい

連載の第1回目は、生物としての「ミドリムシ」についてざっと復習します。そして世界で唯一ミドリムシを商用に大量培養しているメーカー、その名も「株式会社ユーグレナ」について簡単に説明しておきましょう。

ミドリムシとは

「ミドリムシ」とは何でしょうか。ミドリムシは、植物界ユーグレナ植物門ユーグレナ藻網ユーグレナ目に属している鞭毛虫(ベンモウチュウ)の仲間、ミドリムシ属(Euglene)の総称、です。その学名のカタカナ表記「ユーグレナ」という呼び方も一般的になってきました。先に述べた、ミドリムシを大量培養するメーカーの名前「株式会社ユーグレナ」は、この学名に由来しています。ユーグレナの仲間は生物学上、生物としての分類でもさまよっているらしく、動物としての分類の仕方もあり、その場合は動物界原生動物門ミドリムシ目に分類されるそうです。

図1 ミドリムシ(Euglena)の構造
図1 ミドリムシ(Euglena)の構造

出典:Wikimedia

図1に、ミドリムシのからだの構造を略画で示しました。ピンク色の球は細胞核、多数見られる緑色楕円のものは葉緑体です。丸い顆粒はパラミロン顆粒と思われます(パラミロンについては、第2回で説明します)。赤い点は眼点、長いしっぽは鞭毛です。眼点は、ユーグレナ(euglena) という名前の由来(eu- 真の、美しい+glena 眼)でもあります(図2)。

図2 ミドリムシの光学顕微鏡写真-眼点がはっきり見える
図2 ミドリムシの光学顕微鏡写真-眼点がはっきり見える

出典:Wikimedia

ミドリムシの最大の特徴、それは、理科の時間にも習ったと思いますが、「動物の性質」と「植物の性質」を併せ持っているということです。動物としての性質は、鞭毛を持っておりそれを使って水中を泳ぎまわれることです。植物としての性質は、細胞内に葉緑体を持っているので、光合成を行えるということです。ミドリムシには、たくさんの種類があり、厳密な話をすると混乱しますので、ここでは紹介するのは一般的なミドリムシの話です。なお現在、実験によく使用され、また株式会社ユーグレナが大量に培養しているのは、Euglena gracilis(ユーグレナグラシリス)という種です。

株式会社ユーグレナのここがすごい!

さて、このミドリムシの大量培養を世界で商業的に唯一行っている会社が、株式会社ユーグレナ。株式投資に興味のある方の間では、かなりの注目株なのです。表1に示す通り、2005年8月に設立された若い会社ですが、2012年12月20日、東京証券取引所マザーズに上場し、2014年2月3日には東京証券取引所第一部に市場変更している、一部上場企業なのです。

表1 株式会社ユーグレナ会社概要
出典:株式会社ユーグレナHP
会社名 株式会社ユーグレナ
経営理念 人と地球を健康にする
企業ビジョン バイオテクノロジーで、昨日の不可能を今日可能にする
スローガン another future.~ミドリムシが地球を救う~
資本金 48億6,207万円
設立年月日 2005年8月9日
事業内容 1.ユーグレナ等の微細藻類の研究開発、生産
2.ユーグレナ等の微細藻類の食品、化粧品の製造、販売
3.ユーグレナ等の微細藻類のバイオ燃料技術開発、環境関連技術開発
4.バイオテクノロジー関連ビジネスの事業開発、投資等

株式会社ユーグレナは、東京大学発のベンチャー企業です。2005年8月に会社設立後、2005年12月に、世界で初めて微細藻類である「ミドリムシ=ユーグレナ」の野外での大量培養に成功し、現在唯一商業規模での培養を成功させています。
創業のきっかけは、代表取締役の出雲 充氏が、「大学時代に行ったバングラディシュで栄養失調の問題を目の当たりにし、それを解決するために栄養豊富な食料をつくろうと考えたため」(「(株)ユーグレナ個人投資家向け資料」より)だそうです。
出雲氏は「僕はミドリムシで地球を救うことに決めました」という本も出版しています。
出雲氏および創業メンバーは、東大の学生時代からミドリムシの研究にかかわってきているのです。ご興味のある方は会社HPを参照してみてください。

ところで、ユーグレナがすごいのは、何も東大発ベンチャーであるから、というわけではありません。大学発ベンチャーを上場できるレベル(しかも一部上場)に育て上げたからです。

図3のグラフは、文部科学省の「平成26年度 大学等における産学連携等実施状況について」という資料からの引用です。平成26年度までの大学発ベンチャー設立累計が2,311件ありますが、上場までこぎつけているのは、2014年で47社とのことです。わずか2%にすぎません。1部上場にこぎつけたのは、ユーグレナとあと1社(これも東大発)です。

図3 大学等発ベンチャーの設立数の推移
図3 大学等発ベンチャーの設立数の推移

出典:文部科学省 科学技術・学術政策局 産業連携・地域支援課 大学技術移転推進室、「平成26年度 大学等における産学連携等実施状況について」、p23, 2015年12月25日改訂版

オンリーワンのミドリムシ大量培養技術、食糧問題や環境問題を解決しようという社会的に受け入れやすいビジョン、技術に優れ経営センスもある若くて元気な社長およびコアチーム。さらにそれを支える経営プロ集団・サポーター企業という、ベンチャー優等生なのです。

さて、ユーグレナと株式会社ユーグレナが注目されている理由をご理解していただけたでしょうか。

第2回は、食料としてのミドリムシ利用、第3回はバイオ燃料としての利用に関する研究を予定しています。


エンジニアピット キャリアラボ一覧へ戻る