モノづくりエンジニアのための情報ポータルサイト|エンジニアピット

CAREER LAB月面探査ロボット操縦アプリに込めた思い。ハクトインタビュー第9回

月面探査ロボット操縦アプリに込めた思い。
ハクトインタビュー第9回
CATEGORYコラム
DATE2015/08/10
「HAKUTO FAN MEETING Vol.2」には50人近くのHAKUTOファンやサポーターが集結。
ロボットによる月面探査に挑戦する、民間企業発の宇宙開発チーム「HAKUTO」。Googleによる国際宇宙開発の賞金レース「Google Lunar XPRIZE」に参戦する日本唯一のチームだ。

2015年7月11日に行われた「HAKUTO FAN MEETING Vol.2」には50人近くのHAKUTOファンやサポーターが集結。レゴを使った“未来の宇宙都市”を作るワークショップも行われた。
「HAKUTO」公式webサイトはこちら
レゴを使った“未来の宇宙都市”を作るワークショップ
その際、お披露目となったのが、月面探査ロボット(ローバー)「テトリス」を操縦するアプリケーション。タブレットを使い操作すれば、実際のローバーを動かすことができるのだ。

そこで今回は、アプリ開発に携わったHAKUTOプロボノボランティアメンバーの加藤さん、木浦さんに、開発秘話を伺った。
「Google Lunar XPRIZE」とは、XPRIZE財団が主催し、世界最大級のIT企業Googleがスポンサーとしてサポートする月面無人探査をめざす国際的な宇宙開発レース。ミッションは、2017年末までに月面に100%民間開発の無人探査機を着陸させ、着陸地点から500m以上走行し、指定された高解像度の動画や静止画データを地球に送信することとされている。

専門プロメンバーに刺激を受ける、週末の宇宙開発

木浦幹雄さん(写真左)、加藤和弘さん(写真右)
プロフィール
木浦幹雄さん(写真左)
ハクトプロボノ。大手カメラメーカーで働く傍ら、2015年1月よりハクトに参加。 テトリス・コントロール・システムのAndroidアプリ開発を担当した。
加藤和弘さん(写真右)
ハクトプロボノ。株式会社フィル・コスモの代表取締役を務める傍ら、2015年1月よりハクトに参加。名古屋在住で、毎週高速バスに乗ってハクトのチームミーティングに参加している。テトリス・コントロール・システムのAndroidアプリ開発を担当した。
――ハクトに参加した経緯を教えてください。

加藤:
ハクトのことを知ったのは2年前。Facebookで活動内容を知れば知るほど、子どもの頃から憧れていた宇宙開発への思いが膨らんだのですが、当時は時間の余裕がなく“出資”という形で見守っていました。2015年1月に「やっぱりチームに携わりたい」と門を叩き、専門エンジニア集団「プロボノチーム」の一員になりました。

木浦:
私は、ハクトチームメンバーに友人がいて、活動については知っていました。学生時代から、人工衛星「まいど1号」の開発プロジェクトに参加するなど、宇宙開発に関わっており、ハクトの動きも興味を持って見ていたんです。
具体的に携わったきっかけは、ハクトと「新世紀エヴァンゲリオン」のコラボレーション企画が動いたとき。私は、ウェブ開発全般を専門としているのですが、急増したアクセス数に耐えるクラウドサーバー構築を頼まれたことから、プロボノチームに入ることになりました。  
――ハクトでの活動内容を教えてください。

加藤:
ローバー操縦アプリの開発チームの一員として、主に、操作の動きにつける“音”関連の担当をしています。他には、ハクトサポーターの情報を管理するウェブアプリの開発にも携わっています。毎週土曜日に都内でミーティングがあるので、そのたびに上京。ミーティングでは開発進捗を10人のチームメンバーと共有し、実際の開発業務は自宅のある名古屋で夜や早朝にやっています。操縦アプリの開発では、あまりに没頭し、朝6時に「できました!」と興奮気味のチャットを送ったことも。メンバーからいつ寝ているのかと心配されました(笑)。

木浦:
私は操縦アプリのユーザーインターフェースを担当。こんなアニメーションが動いたら面白いのではないか…とユーザー目線で発案し、開発しながら、アプリの見た目を整えていきます。

このプロジェクトには、プログラムを開発する人、デザインする人、動きにつける“音”を作曲してくれる人など、本当にあらゆるプロフェッショナルが関わっています。「もっとこうしたらいいんじゃないか」などと、他メンバーからフィードバックをもらっているうちに、開発が面白くなって寝るのも惜しい…となることが多々ありますね。

自分が動かしているローバーが、来年には月に行く。
考えるだけでワクワクする

――アプリ開発に携わってよかったと思うのは、どんな瞬間ですか。

加藤:
やっぱり、ローバーが動いたとき。アプリ操作の音が、思い描いていた通りに出たときの感動は忘れがたいです。自分で操作しながら「このローバーが実際に月で動くんだ」と想像するとわくわくしますね。ハクトは、プロジェクトのスケールが大きくてやりがいがあります。

木浦:
4月中旬からアプリ開発プロジェクトが始まりましたが、ローバーとうまく通信させ、予期した通りに動かすのは難しかったですね。5月末に初めて動いたときは、チームで歓喜してハイタッチ。ハグして称え合い、このプロ集団と開発できて幸せだなとしみじみ思いました。
――開発で大変だったことは何ですか。

木浦:
プロのエンジニア同士だからこそ、進め方にそれぞれのやり方があり、ぶつかることもあります。働いている業界によっても、開発の慎重さには大きな違いがあり、折り合いをつけていくのは大変ですね。でも、プロのメンバーと議論しながら、ひとつの結論を出していくのもまた非常に刺激的です。

加藤:私は、物理的な距離の問題に頭を悩ませました。月面探査ローバー「テトリス」は都内の事務所(株式会社ispace)にしかないので、名古屋の自宅で試験的に動いたものが“本物”でちゃんと動くのか、すぐに事務所に行って検証することができないんです。東京にいるメンバーに動かしてもらい、「うまく動かない…」「名古屋ではできたのに!」などと電話やチャットで頻繁にやりとりしていました。
――宇宙開発エンジニアとして、今後の目標はありますか。

加藤:ハクトに入り、やりたかった宇宙開発に携われたのですから、賞金レースが終わっても、長期的に開発を継続させていきたいですね。惑星の資源探査に関わりたいという思いはずっと持っています。

木浦:
地球資源は少なくなる一方ですし、宇宙の利用価値はますます広がっていくと思います。まずは「Google Lunar XPRIZE」での成功が目標ですが、その先に、どう新しい宇宙開発の可能性を切り開いていくのか、メンバーとはよく議論しています。民間企業の試みから、地球に貢献できる道を示すことができればいいですね。

エンジニアピット キャリアラボ一覧へ戻る