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CAREER LABなぜ日本の電圧は諸外国に比べて低いの?

なぜ日本の電圧は諸外国に比べて低いの?
CATEGORYコラム
DATE2015/12/04

海外旅行に行った時、変圧器を用意するのは面倒だと思ったことはありませんか。なぜ日本はコンセントの電圧が諸外国よりかなり低いのでしょうか?

エンジニアでも案外知らない、国際間の電圧の違いのあれこれ、一緒に考えていきましょう。

なぜ日本の電圧は諸外国に比べて低いの?

電力会社の起源、アメリカはなぜ110-120Vの電圧なのか?

アメリカの電圧は110-120V。これは、エジソンが1882年、ニューヨークで世界で最初となる電力会社を発足した際に採用した電圧とほとんど変わっていません。なぜこの110-120Vかというと、当時の電気の使い道としてもっとも重要だった「電球」が、それ以上の高電圧には耐えられなかったからと言われています。そのため、伝統的に、今でもこの電圧を受け継いでいます。

アメリカの2倍、ユーロはなぜ220-240Vの電圧なのか?

ユーロ圏を始めとするその他の地域は、220-240Vの例が多いようです。ユーロ圏やアフリカ、アジアは220-230V、イギリスやオーストラリアでは240V。もともとはユーロ圏で220V以上に決められたのが始まりで、アフリカやアジアにもその技術が持ち込まれたのが経緯です。

本記事につきまして、誤った内容を掲載していたため修正させて頂きました。
この度は誤った内容を掲載いたしましたことを深くお詫び申し上げます。

電圧が高いことのデメリットは…安全性と高コスト?

先に決まったアメリカの「低い電圧」が、後から決まったユーロ圏の「高い電圧」と比較してなんのメリットがあるのかというと、電圧が低いので安全性が高いということが大きなメリットになっています。

実はユーロ圏では、220V以上の電圧を採用するようになってから、感電事故死が大きな社会問題となったことがたびたびありました。しかし、一度でも普及したインフラをその欠点に気づいたからといって後から大改造することは難しいものです。そのため、電気機器側の方で、高電圧に対応するための絶縁を厳重にする必要があり、ユーロ圏の電圧では、製造コストが高くなってしまうというデメリットを抱えてしまったのです。

一番人気だった電球が基準?日本が100Vを選んだわけは?

日本の電圧は、100V。アメリカに近いですが、すこし低い電圧です。近年は家庭用の電気も200Vを選択できるようになったりしていて、実現はしていませんが、国際的な基準に合わせようとする議論も繰り返されています。なぜ、日本は100Vになったのでしょうか。

それは、大正時代に一番普及していた電球が、たまたま100Vに対応したものだったからです。

それまで電力事業者ごとに不統一だった日本国内の電圧を1つにまとめよう、という会議が行われ、その際「アメリカに合わせて110Vにしよう」という意見も出ましたが、「100V対応の電球を110Vで動かすと、電球の寿命が半分以下になってしまう。」という問題から、現在の100Vにしたという経緯がありました。

その後、電力会社や家電メーカーは、100Vという基準値に合わせて設備を整え、技術革新を続けてきましたいわば、100Vという規格に合わせて何十年もの歳月をかけてものすごく大きな投資を続けてきたので、それを後から異なる電圧に変更して各方面に修正のためのコストを負担させることを、現段階で必要を感じている人は少ない、というのが現状です。

たとえば海外の規格に合わせない理由:日本の送電技術は世界一?

電圧が低いことの代表的なデメリットに、送電ロスが多くなるということがあります。送電ロスとは電力を運ぶ途中で、その一部が失われてしまうこと。オームの法則によると電圧が高いほど、それに反比例して電流を減少させることができるのです。そこで日本の電力各社は、低い電圧でも送電ロスを抑えるための様々の取り組みをしています。

たとえば、移動中だけ電気を高電圧にして送ること。発電所で作られた電気は、最大でなんと50万Vもの高電圧で送り出されています。あるいは送電線を太くしたり、抵抗率の低い素材を開発したり、電気抵抗が限りなくゼロに近くなる超電導ケーブルの研究も進められています。

こうした努力の結果、日本の送電ロス率は全体の5%弱(※)と、世界で最高水準となっています。

低い電圧の安全な電力を家庭に届けるため、そのデメリットを潰すため、電力送電技術に関わるエンジニア達は日々技術革新をしてきました。この事を考えると今さら無理して電圧を変える必要はないのかもしれませんね。


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