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CAREER LAB人類と金属、11500年の歴史を文系エンジニアがわかりやすくまとめてみた

人類と金属、11500年の歴史を文系エンジニアがわかりやすくまとめてみた
CATEGORYコラム
DATE2015/2/5

こんにちは、文系エンジニアです。前回、人類と電気の歴史を紹介したところ好評だったようなので、調子に乗って今度は人類と金属の歴史について書こうと思います。

現在、人類が存在を知っている金属は86種類と言われます。ものづくり系エンジニアは鉄のような日常的に使うものから、レアな用途にごく少量だけ使用するものまで、実に幅広い用途で多種多様の金属を使い分けています。

しかし、人類の長い歴史の中で、金属の使い方がどう発展してきたのか、説明できる人はあまりいないかもしれません。

最初に使われるようになった金属とは何でしょうか。86種類の金属がすべて発見されたのはいつなのか?加工の技術はどのように発展してきたのか。一緒に見ていきましょう!

最初期の金属とは、神がくれた「力」の証?

  • 時代:紀元前9500年頃
  • 時代:紀元前9500年頃

まず、金属の定義を知っておきましょう。金属とは、以下の5つの特徴を備えたものとされます。

  1. 常温で個体。(水銀を除く)
  2. 変形が容易で延ばす加工できる。
  3. 不透明で輝くような金属光沢がある。
  4. 電気および熱を伝導する。
  5. 水溶液中で陽イオンとなる。

これらの特徴に合致する「金属」のうち、人類が一番最初に道具として利用を始めたのは「銅」と言われます。イラクでは、紀元前9500年頃の地層から、天然の純銅で作られたペンダントが発見されています。金属利用のごく初期では、酸化物から金属を取り出す精錬の技術が存在せず、金や銀など、酸化しにくい一部の金属のみが、装飾品として使われるだけでした。

武器としては鉄よりも強い!青銅器の発見が金属の活用を加速した!

もちろん、当時に「金属とは何か」という定義が明確にあったわけではないので、「光る石」として重宝され、またその絶対量の少なさから、権力や武力、初期宗教における神性の証として利用されていました。

武器としては鉄よりも強い!青銅器の発見が金属の活用を加速した!

武器としては鉄よりも強い!青銅器の発見が金属の活用を加速した!
  • 時代:紀元前3600年頃
  • 場所:メソポタミア地方

メソポタミア(イラク、イラン、トルコ近辺)地方は、古くより金属が豊富に産出する地方であったことが知られています。

紀元前5500年頃には、ペルシャ(現在のイラン)で銅の精錬が始まりました。しかし、当時の精錬技術では不純物が多く脆かったことから、用途はまだ装飾品のみにとどまっていたようです。

武器や生活の道具としての金属が利用されるようになったのは、紀元前3600年頃。メソポタミアの南部に都市国家を構えたシュメール人は、銅と錫の合金である青銅を発見しました。

青銅は銅と比較すると強度があり、鋳造性も良かったため、石器に変わる夢の材料として、あらゆる用途に使われるようになっていったのです。

特にその硬さから、青銅の武器利用は長期にわたり世界中で続けられており、たとえば中国を初めて統一した秦(紀元前778~206年)は、鉄製武器を使用する周辺国を青銅の武器で打ち破ったことが知られています。

安価な鉄の普及で、庶民の間にも金属の利用が一般化した!

  • 時代:紀元前1500年頃
  • 場所:メソポタミア地方

鉄の精錬には、1000度を超える高温を作り維持するための炉や吹子の技術が発明される必要がありました。

人類が鉄鉱石から鉄を取り出すための技術を計画的に使いこなすようになるのは紀元前1500年頃のヒッタイト王国が始まりです。ヒッタイト王国は高度な製鉄技術を独占し、鉄製の剣や戦車を用いてメソポタミア一帯の広い地域を征服しました。

その他の地域に製鉄の技術が広まるのはヒッタイト王国が滅亡する紀元前1200年以降を待つことになります。いかにヒッタイトが鉄の精錬法を重要視していたか、そして鉄器がもたらす恩恵がいかに大きいものだったかが伺えますね。

紀元前の世界においては、鉄の精錬技術はまだ洗練されているとは言いがたく、硬度の上でも青銅に劣っていました。中国では金色に輝く銅を美鉄、鉄を悪鉄と呼ぶくらいで、珍重されたのは鉄よりも銅だったようです。

しかし、現代エンジニアであればご存知の通り、鉄の最大の利点は埋蔵量が多いということ。

銅と比較して数倍以上に安価な鉄は、軍隊の大型化に貢献し、一方では農具や貨幣といった、庶民の生活にも関係する道具へと活用が進むことになります。

武器としては鉄よりも強い!青銅器の発見が金属の活用を加速した!

電気の語源が、世界最古の貨幣の名前?

  • 時代:紀元前670年頃
  • 場所:リディア王国(トルコ)

世界最古の鋳造貨幣(硬貨)の名前は、エレクトロン貨。エレクトロンとは琥珀の意味で「電気」の語源と同じです。

金と銀の合金であるエレクトロン貨は、アジアとヨーロッパとアラブとを結ぶ貿易の重要拠点であるアナトリア半島のリディア王国で発明されました。

以降、硬貨という発明はギリシャ、ローマ、ペルシャ、中国へと広がっていきます。エンジニアにとって縁の深い金属と電気の共通点がこんなところにあったんですね。

元素と質量保存の法則を発表し、金属区分が整理された

  • 時代:1600年代後半
  • 場所:イギリス、フランス

金属発展の歴史に、錬金術は重要なテーマです。古代ギリシャのアリストテレスは、万物は火、気、水、土の四大元素から構成されると考えました。卑金属(鉛や鉄などの安い金属)から貴金属(おもに金)を生み出そうとする錬金術はこの考え方に基づいており、古くは紀元前の古代ギリシャや古代エジプトから数千年の長い間、万物を自由に変質させ、人間を不老不死にする「賢者の石」の存在が、世界中で真剣に研究されてきました。

その副産物として、錬金術は実験道具の発明や化学薬品の発見に貢献し、現代「化学」の礎となった学問とされます。

錬金術が成熟した17世紀になると、アイルランド出身の錬金術士ロバート・ボイルが元素の存在を発見して上記の四大元素説を否定。

そして18世紀にフランスの化学者アントワーヌ・ラヴォアジェが33の元素と質量保存の法則を発表し、人類が知る金属の区分が整理されることになりました。

高炉の発明で鉄と鋼が大量生産可能に!産業革命が始まる!

  • 時代:1709年
  • 場所:イギリス

1709年、イギリスの製鉄業者であるエイブラハム・ダービーは、石炭を活用して大量に鋳鉄を生産するための溶鉱炉を発明。従来の木炭を使うよりもコストが下がり、大量の製鉄が可能となったことから、イギリスを起点としてヨーロッパに産業革命が広がっていきます。

安価な鉄を利用して機械工業が発達し、金属活用の担い手は鍛冶職人や錬金術士から、現代のエンジニアへ移っていきます。

1856年には、イギリスの発明家ヘンリー・ベッセマーが転炉製鋼法を開発して、鉄鋼の大量生産を開始。現代のエンジニアの仕事で使われる金属の90%以上がこの「鋼」です。

すべての金属が出揃ったのは20世紀の半ば!レアアースの活用進む!

  • 時代:1794年
  • 場所:スウェーデン

フィンランドの学者ヨハン・ガドリンは1794年、スウェーデンのイッテルッビー村でレアアースを発見。以降、人類は150年の歳月をかけて、20世紀の半ばまでに、17種類のレアアース元素を発見しました。

今でこそレアアースは永久磁石やLED、蛍光物質などとしてハイテク分野での活用の範囲が広がっていますが、20世紀初頭まではその特性があまり理解されておらず、ライターの発火石として使われる程度だったようです。


以上、駆け足ですが、人類と金属の歴史について追いかけてみました。
リクエストがありましたら、個別の金属についてもっと掘り下げ紹介してみるのも良いかなと思っております。ではでは!


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