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CAREER LABものづくりエンジニアが最低限知っておきたい「熱処理」の基本知識まとめ

ものづくりエンジニアが最低限知っておきたい
「熱処理」の基本知識まとめ
CATEGORYコラム
DATE2016/03/22

ものづくりのベースになる技術のひとつに、熱処理があります。 機械部品はもちろん、ペンチ、ドライバー、スパナといった工具などを作る際にも熱処理は行われており、エンジニアである私たちにとって、欠かすことのできない大切な技術です。

しかし、熱処理とはいったい何で、どんな目的で何をしているのか。説明できる人は少ないかもしれません。そこで今回は、普段は熱処理に関わっていないエンジニアの方々にもわかりやすく「熱処理とは一体何か」をまとめてお伝えしていきたいと思います。

ものづくりエンジニアが最低限知っておきたい「熱処理」の基本知識まとめ

熱処理の主要な方法は3つ!標準化処理、硬化・強化処理、表面効果処理

熱処理を一言で説明すると、金属を「赤めて冷やす」ことです。加熱する温度の高低、そして冷却の仕方によって金属の硬さ、組織、機械的強度などが変わります。また、単に「熱処理」と言う場合は金属素材の90%超を占めるといわれる鉄鋼材料(※)に対しての熱処理を示します。

熱処理の方法は、以下の3つに大きく分類されます。

  1. 標準化処理
  2. 硬化・強化処理
  3. 表面硬化処理

簡単に言うと、標準化処理は鉄鋼材料を本来の姿に戻し、硬化・強化処理は全体を硬くし、表面硬化処理は表面だけを硬くする役割があります。それぞれをもう少しくわしく見ていきましょう。

※金属材料、鉄鋼材料についてのさらにくわしい説明は、以下のコラムをご参照ください。
「機械」をつくる材料、代表的な7種類の特徴と用途まとめ

熱処理その1:標準化処理とは何か?

鉄鋼材料は製造工程、圧延、鍛造、引き抜き加工、機械加工といった加工工程の途中で、組織や結晶粒度が乱され、そのままでは鉄鋼に期待される強度や安定性を発揮することができません。これを、鉄鋼が「病んでいる」と言います。

病んだ組織を本来の標準的な組織に再生するための熱処理を、焼きなまし、焼きならしと言い、総称して標準化処理と表現します。

「標準化処理」はもっとも基本的な熱処理で、通常だと以下の2つの処理の事前に行います。

熱処理その2:硬化・強化処理とは何か?

標準化処理した鉄鋼は、この状態ではまだ軟らかく、強度も低いままです。そこで、高温に加熱してから急冷する焼入れ処理や、要求特性に応じて低温、高温での焼戻し処理を行うことで高度と強度を向上させます。これを、硬化・強化処理と総称します。また、550~660度で焼戻しを行い、主に靭性の向上を目的とした処理を調質と言います。

熱処理その3:表面硬化処理とは何か?

鉄鋼の表面だけを処理して望ましい性質にすることを表面硬化処理と言います。 具体的な手法は様々であり、鉄鋼部品の表面部に炭素や窒素を侵入させたり、高周波誘導加熱により部分的に焼入れする方法があります。

表面硬化処理をすることによって鉄鋼は表面と内部で異なる特性を合わせ持つことになります。主な目的は、表面だけを硬くすることで耐摩耗性、対疲労強度を高める一方、比較的軟らかい内部は柔軟な靭性を保つ、というものです。

自動車には熱処理された2000の部品が使われている!

では、熱処理された鉄鋼材料は、どんなところに使われているのでしょうか。 身近な例で用途が多いものの最たる例は、自動車です。自動車の構成部品の数は普通乗用車でおよそ30,000点であり、その25%は鉄鋼材料。そしてさらにそのうち25%が熱処理された鉄製品です。

同様に、大型機械や建設機械といった硬度や強度が重要視される用途には、熱処理された部品が多数組み込まれています。

エンジニアが常用する工具類にも熱処理技術が活きている!

ものづくりエンジニアが毎日の仕事で使う工具にも、熱処理を施した強靭な鉄鋼が使われています。それはそのはず、力を込めて金属を扱う工具に強靭性がなければ、すぐに壊れて危ないですよね。強靭鋼の製造には充分な熱処理が行われており、その工程は一般的には以下のようなものです。

素材切断→熱間鍛造→焼ならし→機械加工→焼入れ→焼戻し→仕上げ加工→表面加工

それぞれの工程に関するくわしい説明は、また次回のコラムでご紹介していきたいと思います。


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