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CAREER LABものづくりエンジニアが最低限知っておきたい「熱処理」/熱処理作業の流れを専門外の人にもわかるようにまとめてみた

ものづくりエンジニアが最低限知っておきたい「熱処理」
熱処理作業の流れを専門外の人にもわかるようにまとめてみた
CATEGORYコラム
DATE2016/06/23

熱処理に特有の問題は、熱処理を行った部品をその見た目から「処理済み」なのか「未処理」なのか判別することが困難なことにあります。そのため、作業工程の作業の流れは正確に理解・把握されていなければなりません。未処理品や誤処理品が混入するという一大事を防ぐためです。
そこで今回は「熱処理」に含まれるすべての工程を順を追って整理していきます。これから熱処理を勉強しようという方はもちろん、専門外の方にとっても最低限の理解を深めるために、読んでいただければと思います。

一覧!熱処理作業の流れまとめ

一般的な熱処理作業の流れは以下のとおりです。

1.受注・受け入れ
2.工程調整
3.治具セット(準備)
4.脱脂洗浄(前洗浄)
5.処理(標準化処理、硬化・強靭化処理、表面硬化処理)
6.脱脂洗浄(後洗浄)
9.出荷検査

目的とする性質によっては、これ以外にも工程が増えたり、減ったりすることはありますが、基本的にはこの流れを把握していれば、細かい応用が利きます。
では、ひとつひとつの工程で何が行われているのか、順番に見ていきましょう。

熱処理工程その1:受注・受け入れとは?

熱処理したい材料の状態、数量。目的とする性質や納期、予算などを確認して、外部のクライアントまたは内部の他部署などからの要望を達成できるか、ミーティングなどを経て検証する段階です。
お互いの認識が一致すれば、正式に熱処理の全行程がスタートすることになります。

熱処理工程その2:工程調整とは?

目的とする性質や材料の数量、納期に応じて必要な作業工程を洗い出し、スケジュールを組み立てる段階です。前述の通り、熱処理された材料と熱処理されていない材料を後から見分けることは困難なことが多いため、未処理・誤処理品の混入という最大の問題を防ぐことは大切なミッションです。
当然ながら、誤処理された材料を処理前の状態に戻して作業し直すこともできません。
そこで、厳密な工程調整で全体の流れをFIXしておくことが非常に重要なのです。

熱処理工程その3:治具セットとは?

全工程で必要となる設備・器具を用意します。
治具とは、材料に熱処理を加える際、作業位置を一定に調整するための器具のこと。仕上がりのバラつきが最小限になるだけでなく、作業が効率化され、大量生産が可能となります。
熱処理は「同じものを大量に」作り出すことが大切なので、作業基準書を用意して誰が作業をしても同じ品質のものが作れるようなシステムを設計しなければいけません。

熱処理工程その4とその6:脱脂洗浄とは?

金属の材料には、研磨加工時の研磨剤や金属粉、錆びの防止に使用される油類など、処理の障害物となってしまう様々な汚れが付着しています。そこで、汚れを除去して金属の表面を清浄な状態にしてから熱処理を行わなければなりません。これが、脱脂洗浄です。
脱脂洗浄の中にもいくつかの工程が分類されていることが一般的で、溶剤による予備脱脂、アルカリ塩を用いた脱脂液に浸漬する本脱脂、電解によって洗浄する仕上げ脱脂、などがあります。

熱処理工程その5:処理とは?

目的に応じて、標準化処理、硬化・強靭化処理、表面硬化処理のいずれかを行います。場合によって複数の処理を順次行うこともあります。
それぞれの処理とその目的の説明は、前回のコラム(※熱処理の基本知識まとめ)にくわしいので、合わせてご覧ください。

熱処理工程その6:脱脂洗浄(後洗浄)とは?

その4. 脱脂洗浄(前洗浄)を参照。

熱処理工程その7:出荷検査とは?

焼戻しが行われた後、中間検査よりもさらに精密な検査が行われます。
その項目は主要なものでは、表面硬さ、浸炭硬化層深さ、表面組織、外観や数量などです。
問題がなければ、後は納品をするばかりです。

加工する場所によっては作業の追加がある工程

また、所によって加工作業・手順やが違うのですが、工程6と工程7の間に、以下の作業が追加されるところもあるようです。

熱処理工程 番外編1:中間検査とは?

間違いなく処理が行われたか、事前に用意された検査企画書に従って、処理済み部品の状態を確かめます。この後に続く「焼戻し」の温度を適切に選択するのもこの段階です。
当然ながら、未処理品や誤処理品の混入もチェックされます。

熱処理工程 番外編2:焼戻しとは?

焼入れなどの熱処理が行われた金属は、そのままでは組織が安定していません。硬さが高く、反対に極めて脆い状態となっています。
これでは部品として使用することができませんので、150~700度と比較的低温で再加熱することによって組織を安定化させることが必要になります。
これを焼戻しと言い、焼戻しをされた金属は靭性を取り戻し後工程での変形や経年変化を防ぐことができるのです。

以上が、熱処理工程の一般的な流れになります。
1つ1つの工程のさらにくわしい解説もまた、機会があればご紹介していきたいと思います。
では!


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