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CAREER LAB「上手く話そうとしないからこそ魅力的!」役者歴20年の講師に聞く技術者の為のプレゼン術【第1回】

「上手く話そうとしないからこそ魅力的!」
役者歴20年の講師に聞く技術者の為のプレゼン術【第1回】
DATE2015/07/13
今回から3回連載でお届けするインタビュー記事のテーマは「プレゼントーク術」。エンジニアの現場でますます重要性の高まるコミュニケーション技術がどうすれば身につくのかを一緒に考えていきましょう。

第1回で身につけたいのは、「伝わる技術プレゼンの極意」。職場に味方や協力者を増やし、目標実現の近道となるプレゼンスキルを身につければ、その後のエンジニア人生は大きく違ってくるはずです。

これまで140社以上のメーカー系企業等で「話し方」の講演を行い、役者としても活躍する宮北結僖さんにポイントをうかがいました。
株式会社心に響く話し方
代表取締役 宮北 結僖さん

西田敏行・緒形直人率いる劇団青年座を経てTV・舞台等で活躍。20年の俳優実績を生かし、現在は「言響(心に響く話し方)スクール・セミナー」を主宰。
著書『お客様の心に響く話し方』ほか
http://www.genkyo.net

プレゼンの基本は「6:3:1」。
ビフォーをより大切に伝えることです。

プレゼンの基本は「6:3:1」。
―モノづくりエンジニアがプレゼンする時に大切なことを教えてください。

プレゼンで大切なことは、
「ビフォー(仕様変更前)の状況を60%、改善内容の説明を30%、そしてアフター(改善後)の説明を10%」のボリュームで伝えることです。

あれ?逆なのでは? と思う方もいるかもしれませんね。でも、エンジニアの方々がもっとも苦労した新機能や新技術といったアフターの部分をクローズアップしてしまうと、ついつい話が自分の世界に入り込んでしまいがちなんです。

腕の見せ所なのはわかりますが、エンジニアの仕事における主役はユーザーです。ユーザーが持っていた悩み、使い勝手が悪かった部分、安全面の不安要素など、仕様変更前に発生していたユーザーにとってのデメリットをしっかりと伝えることで、お客様からの視点からズレることがなくなります。

「自分を変えるな、でも自分を忘れろ」です。自分を抑えることで、プレゼンの軸が整いますよ。  
―「6:3:1」のフォーマットで上手くいった事例はありますか?

CMではこの手法をよく使っています。たとえば今話題のライザップのCM。ダイエット前のだらりとした肉体を印象づけてから、トレーニングの風景を挟み、ラストに引き締まった肉体でほんの一瞬ニヤリと笑みを浮かべて終わり。

あとは住まいを劇的リフォームする某番組でも同様です。さまざまな問題を抱えた家の中をじっくりと見せてから(ビフォー)、匠の手によって改造する内容を挙げ(改善内容の説明)、リフォームで大変身したアフターはイメージ程度に流していますね。

この手法で話すと、テーマに対してストーリー性や歴史が生まれます。そして、まわりくどい表現を避け、伝えたい事柄をシンプルに表現できるのです。

言葉に言葉を重ねると、言葉のエネルギーが落ちてしまいます。役者の世界でも、実力のある役者さんはセリフの多さでは決まりません。一言に重みがあり、ずば抜けた存在感が印象に残る役者さんが本物といわれます。100の情報を言いたいけれど、10で話す。すると、残り90のエネルギーを言葉に込めることができるでしょう。

自分がどうやったら面白がって
楽しく話せるかを工夫してみましょう。

自分がどうやったら面白がって楽しく話せるかを工夫してみましょう。
―たくさんの人の前で上手に話すのが苦手というエンジニアも多いようですが、克服はできますか?

エンジニアだから自分は話ベタだと思っている方も、諦めなくて大丈夫です。そもそも人は上手い話に共感はしません。言葉がたどたどしくても、一所懸命話す人に心が動きます。聞き手は話す内容よりも、あなたの心の声が聞きたいのです。マニュアル通りに話すと伝わりにくいのは、話し手の心が入っていないからです。「言葉=自分の本心」となれば、聞き手は自然と耳を傾けてくれるようになります。

ちなみに「面白がって楽しそうに話す人」は聞き手の心を惹き付けます。私は役者時代、本番前に必ず以下の3つの習慣を行うことで、緊張を和らげ、自分らしさを取り戻していました。
  • トイレの鏡でお化粧を直しながら、ゆっくり微笑む。
  • ホットコーヒーを飲む。
  • 出だしの3分間を繰り返しイメージし、言葉をつぶやく。
みなさんも、自分がどうしたら楽しく話すことができるかを考えてみてくださいね。

―プレゼンの前にプレッシャーを感じてしまう時はどうしたらいいですか?

自分のアイデアや新商品への想いが強すぎたり、他と自分とを比較したりすると苦しくなってきます。満を持して挑むプレゼンというのはわかります。でも心のどこかに自分の立場をよくしたい、会社に評価されたい、ライバルに勝ちたい…という気持ちがあると、「自分が、自分が」と前に出ていこうとするので、逆にどんどん自分が見えなくなってしまいます。
不思議なことに、自分のことばかり考えてしまう時ほど、面白いほど自分を見失い、コントロール不能になるのです。

そこで、ぜひトライしてほしいのが「身振り手振り」です。以前、東京オリンピック招致のためのプレゼンがありましたね。その最終プレゼンをご覧になった方も多いと思います。滝川クリステルさんがジェスチャーを交えながら「おもてなし」を一語一語、まっすぐ前を向きながら笑顔で表現されていらっしゃいました。

ボキャブラリーが少ない方こそ、言葉+身振り手振り。上半身を動かしながら話すと、心がやわらかくなりますよ。
次回:第2回『リアクション1.5倍で会話は10倍盛り上がる!』はこちらです!

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