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CAREER LABTRIZの発明原理を使ってみた

TRIZの発明原理を使ってみた
DATE2015/10/05
前回、「特許アイデアを効率的に出す エンジニアが実践すべき発想のコツ」の中で、特許のアイデアを効率的に出す理論として、TRIZ(トゥリーズ)を紹介しました。TRIZは、旧ソ連で生まれ、国家レベルでの数十年にわたる検証を経て開発された「発明を生んで、問題解決するための理論」と言われています。

そこで、今回は実際にTRIZを使って問題解決するプロセスを紹介したいと思います。
TRIZの発明原理を使ってみた  

TRIZの問題解決プロセス

まず、TRIZの問題解決プロセスの手順は下記のようになっています。
  1. 問題の矛盾の構造を定義する
  2. 矛盾することに対し、特性パラメータを当てはめる
  3. 矛盾マトリックスを使って、解決のヒントとなる発明原理を見つける
  4. その発明原理のデータベースから、アイデアを抽出する
この中で、4の「発明原理」が膨大な発明データベースから抽出したTRIZの肝となる部分です。1~3は、この発明原理を使うために問題を分類する手順と言えます。さて、次に具体的な事例を当てはめて試してみましょう。

わかりやすい例として、ペットボトルを考えます。ペットボトル飲料の中には充填時に高温にするものがあります。しかし、これは問題があって、冷めたときに内側が低圧になってペットボトルに凹みが出る原因になってしまいます。この問題にTRIZを当てはめてみましょう。
 

実際にTRIZを当てはめて考えてみる

まず、「1, 問題の矛盾の構造を定義する」に従って問題の矛盾の構造を定義します。
技術的課題は必ず何らかの矛盾の構造を含んでいるものです。今回の例の場合、熱い飲料を入れるとペットボトルの中身が低圧になり、ペットボトルが変形することが問題です。逆に、ペットボトルを変形させないためには高圧にする、つまり熱い飲料を入れることができません。これから、ペットボトルの「圧力」と「形状」が矛盾(トレードオフ)の関係になっていることがわかります。

「2, 矛盾することに対し、特性パラメータを当てはめる」では、その矛盾を「特性パラメータ」というものに当てはめます。特性パラメータとは重量、速度、強度、力など矛盾の構造となるもので、全部で39種類あります(詳細は参考文献をご覧ください)。今回の問題の場合は、「応力、圧力」と「形状」というパラメータが矛盾の要素になります。

「3, 矛盾マトリックスを使って、解決のヒントとなる発明原理を見つける」では、下表の「矛盾マトリックス」というものを使って、対応する発明原理を見つけます。このマトリックスの中にある番号が発明原理に対応しています。この手順は特性パラメータが決定していれば、機械的に行えます。今回の場合は“34,15,10,14”の発明原理を検討するということです。
矛盾マトリックス
「4, その発明原理のデータベースから、アイデアを抽出する」では、3で得られた発明原理からアイデアを抽出します。今回4つの発明原理が対象となっていますが、今回は“10-先取り作用原理”でアイデアを練ってみましょう。なお、発明原理は全部で40種類あります。興味のある方は参考文献を参照してください。
10-先取り作用原理は次のような内容になっています。(実際のTRIZでは、ここで非常にたくさんの特許などのアイデアに触れられます)

要点:事前に動作や構造に工夫しておき、動作や作用をスムーズにすること。
例:
事前に動作や構造に工夫した例
連想語:下準備、先読み、整地、フォーマット、五十音順、ナンバリング、薬の一包化 …

さて、これを参考にアイデアを練りましょう。ペットボトルに圧力を緩和する折り目を事前につけることはできないでしょうか?中身が低圧になったときに、それを緩和するような凹凸構造を事前に持たせればいいのです。

実際、炭酸飲料のペットボトルは円筒で凹凸はありませんが、お茶のペットボトルはたくさん凹凸がつけられていることがわかるでしょう。これは、今回のアイデアを具体化したものです。

以上がTRIZのアイデア創出プロセスです。何だか当たり前のように感じられるかもしれませんが、コロンブスの卵のようなもので、これを発想するのはなかなか難しいのです。何もないと、うなりながら考えるしかありませんが、TRIZを使うと発想のヒントが与えられます。
 

多様な思考を受け入れ、アイデアに昇華させる

TRIZの思想は「発明を科学的に」ということです。初めは怪しく思えるかもしれませんが、この手順を発明プロセスに部分的にでも取り入れれば、アイデア発想の効率を大きく高められることでしょう。今回紹介したものはほんのさわりですので、興味があれば、参考文献やWebで検索してさらに学んでみてください。

出展:トリーズ(TRIZ)の発明原理40 あらゆる問題解決に使える[科学的]思考支援ツール/
(高木芳徳 著、ディスカヴァー・トゥエンティワン社)
エンジニアライター
蔵本貴文

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