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CAREER LABAI・人工知能EXPO 2017 突撃レポート

AI・人工知能EXPO 2017 突撃レポート
CATEGORYニュース
DATE2017/07/04

報告/ふももと

2017年6月28日から30日、東京ビッグサイトで第1回 AI・人工知能EXPOが開催されました。そのときの様子をレポートしたいと思います。

期待度が加熱するAI産業

開催時間である10時、東京ビッグサイト東ホール会場に到着するとそこには長蛇の列ができていました。人工知能は各業界からの期待と注目度がとても高いようです。会場内は来場者でごった返しており、さながらコミケ3日目の東ホールのような様相を呈しています。ITベンダーを中心に多くの企業が出展していました。大手とベンチャー、だいたい半々の割合で構成されているようです。来場者の業種も製造業や映像系、IT系など多様で、皆熱心に展示について説明員と会話していました。14時をまわった頃になると配布用のフライヤーが在庫切れになってしまったブースも見受けられ、出展側の想定を超えた動員になったと考えられます。

写真 混雑している会場入口付近

いまいち多様性に欠けるAIソリューション群

展示を観て気になった点は、どの企業もこぞってコールセンター業務の代替を謳ったチャットbotソリューションを展開しているところです。展示全体の約7割はチャットbotあるいはそれに準ずる付加価値を提供したソリューションでした。残り2割が、プログラミングができない人でも手軽に機械学習を利用できるパッケージやプラットフォームとそれに付随する導入コンサルティングで、1割が機械学習を用いた研究発表といった印象です。

AI業界の技術アプローチは機械学習よりルールベース

AIソリューションを謳った製品の多くは、飛ぶ鳥を落とす勢いでBuzzっているディープラーニングなどの機械学習ではなくルールベースが用いられています。例えばチャットbotであれば、ユーザがブラウザ上のGUIを使ってルール設計する場合もあればソリューション提供会社が用意する専門の設計チームが組む場合もありますが、いずれにせよ予め決められたルールに則って動作します。これは人工知能というよりはWeb1.0時代に流行った人工無能を小奇麗に再開発したようなものでしょう。いずれにせよ機械学習、特にディープラーニングを適用したソリューションは今のところそれほど多くないようです。

しのぎを削るチャットbotソリューション

先述の通り、AI業界で最大のソリューション分野はチャットbotです。チャットbot自体はルールベースで、決められた動作しかできないので後はどれだけその機能に付加価値を付けるかが勝負どころのようです。

写真 サイバーエージェント社が提供する『AI Messenger』のパネル

株式会社サイバーエージェントでは、『AI Messenger』というAIによるチャット応対サービスを提供しています。コールセンターの代替利用が前提とされています。初歩的な質問はチャットbotが答え、それでも解決しない場合はサイバーエージェント社側で設けた専門のコールセンターが人手で応対します。コールセンターもサービスに含まれるそうで、曰く「顧客が求めているのは自動チャットではなく、コールセンターを代替する機能」だからだそうです。ルールはサービス利用企業が検討し、実装はCyberAgent社側で行うそうです。簡易な一問一答形式くらいであればサービス利用企業側が管理画面で設定できるとのこと。LINE、Facebook、Webブラウザやアプリに対応しています。

写真 Live2DによるキャラクターモーションをUI部分に実装したチャットbot

株式会社ティファナ・ドットコムは自社のチャットbotをLive2D技術のモーション付きキャラクターをフロントに実装してデモをしています。キャラクターを用いたチャットbotの見せ方は来場者の食いつきが良いようでデモブースでは人だかりができていました。

写真 会話ルールを設定する『Repl-AI』のGUI設定画面

インターメディアプランニング株式会社が提供するチャットbot『Repl-AI』では、会話ルールのボックスを線でつないで会話を設計します。シナリオベースの人工知能(というよりは人工無能技術)です。

プログラミングスキルがなくても機械学習技術が活用できるように

チャットbotに次いで多いソリューションとして機械学習プラットフォームの提供があります。話を聞くところによると、プログラミングにあまり詳しくない機械学習の研究従事者が多くいるそうです。そういった方々の需要を見込んで、プログラミングという比較的学習コストが高いスキルがなくても手軽に機械学習技術に触れられるソリューションを展開していました。

写真 UEI社が提供する機械学習GUI環境『DEEPstation』

株式会社UEIは機械学習環境を構築する手間を省くために機械学習専用ワークステーション『DEEPstation DK-1』という製品を提供しています。OSはUbuntu14.04 LTS でGPUにNVIDIA GeForce GTX 1080 Tiを搭載しています。機械学習のGUI環境としてソニーCSL社と共同開発した『CSLAIER』がプリインストールされており、ブラウザ上で簡単に操作できるとのこと。ChainerとTensorFlowが動かせます。

写真 日立が提供する機械学習専用サーバ

株式会社日立製作所では機械学習専用サーバを提供します。自社でオンプレの機械学習サーバを構築する用途で、価格は安いもので1990万円。導入後のアフターケアや機械学習についての学習支援も行うそうです。

写真 グリッド社が提供する機械学習フレームワーク『∞ReNom』の展示

株式会社グリッドでは独自の機械学習フレームワーク『∞ReNom』を開発し、その導入に関するトータルなソリューションを展開しています。開発業務は富士通やCTCといったパートナー企業が行います。

写真 新日鉄住金ソリューションズ社の機械学習プラットフォーム『DataRobot』

新日鉄住金ソリューションズ株式会社では、機械学習プラットフォーム『DataRobot』を提供しています。プリセットとして用意されたいくつかのモデルを用いて総当りで精度が良い手法を探します。プログラミングを必要としないため、データサイエンティストが純粋に分析だけに時間が割けるそうです。

ユニークなAIソリューションの展示

上記のチャットbotやプラットフォームではない、ユニークな展示もいくつかありました。

写真 企業有志が集まった『CREATIVE FLOW_ERプロジェクト』の展示

『CREATIVE FLOW_ER』は、体験者の脳波にあわせてその精神状態を分析してインタラクションする展示で、多くの来場者の関心を引いていました。精神状態に応じて前方のスクリーンに多様な花が咲くというもの。

写真 オプト社が出展する『Deep Analytics』はデータサイエンティストの腕試しができる

株式会社オプトが展示しているWebサービス『Deep Analytics』はデータサイエンティストが腕試しができるサイトです。依頼した企業が学習データと指定の評価関数を提示し、機械学習モデル構築コンテストを開催。最も精度が高いモデルを構築できたユーザに賞金が出るプラットフォームです。コンテストを依頼する企業にはユニクロ社など大手企業も参画しています。

一定の方向性が見えてきたAI業界の行く末

以上、AI・人工知能EXPOの展示をいくつか紹介しました。全体として、チャットbotなど方向性が見えてきたAI業界ですが 、ここでいうAIは広義のAIだと思います。機械学習や深層学習といったものを用いたソリューションはまだまだ少なく、狭義のAIを用いたソリューションもまだ先になりそうだ、というのが正直な感想です。人工知能技術というよりは人工無能技術というべきものも多数ありました。ですが逆に言えば、人工知能は今ホットな研究分野でもあるのでAI業界の伸びしろは未知数です。今後、技術革新が起こってあっと驚くプロダクトが雨後の竹の子のように出てくる可能性は十分考えられます。引き続き目が離せない業界であることに間違いはありません。


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