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CAREER LAB世界の企業勢力図を変える? 今なぜ「オープンイノベーション」が流行しているのか?

世界の企業勢力図を変える? 今なぜ「オープンイノベーション」が流行しているのか?
CATEGORY学び
DATE2017/10/16

今、製造業を中心とした大企業がこぞって取り組んでいるオープンイノベーション。自社の持つリソースと、ベンチャー企業、大学などの教育機関、自治体などの異業態が持つ技術やアイデアなどのリソースを組み合わせ、革新的なビジネスモデルを生み出そうとする試み。つまり「お互いに手の内を見せあってオモシロいこと考えましょうよ」ということだ。アップルのiPhoneやiPadのように、優れた製品は自前開発主義ではなく、世界各地からクオリティの高い部品を外部から集めることで商品化されたことは周知の事実だ。
さらに、大企業からすれば研究開発の効率アップ&コスト削減にもつながる。トレンドの移り変わりに激化、ニーズの多様化に合わせるためには多種多様な商品が必要。それに対応しようとすれば自前の研究開発だけでは膨大な費用と時間がかかってしまう。であれば、外部と協力してタイムリーな研究をしていく方がよいのではないか、その方が研究開発費も抑えられるのではないか、ということだ。では、あらためてオープン・イノベーションのメリットを整理してみたい。

オープンイノベーションの主なメリット

メリット1「多様性」

異業種からの視点を得ることによって、これまで考え付かなかったような別角度のアイデアが出てくる

メリット2「スピード」

外部の研究開発能力やアイデアを募ることによって、市場の劇的変化にも対応できるスピードで商品開発ができる

メリット3「コスト削減」

外部の協力を得ることで、コストを抑えつつ多種多様なプロジェクトを進めることができる

なぜオープンイノベーションが流行しているのか?

オープン・イノベーションという概念は、実はもう15年も前からあった。ではなぜ今、これほどまでに活発化しているのだろうか。背景として、デジタル技術の進歩は欠かせないだろう。もともとデジタル技術というのは、さまざまな業態を横断することができる。さまざまなコンテンツを集約する携帯電話や、さまざまなモノをインターネットにつないで制御するIoTがよい例だ。これにより、さまざまな企業が互いに協調する価値が生まれてきた。
もう一つの要因は,グローバリゼーション。新興国の技術キャッチアップで研究開発競争が激化し、自前主義による研究開発では追い付かなくなってきていることだろう。

オープンイノベーションの事例

ここでいくつか成功例を挙げていく。成功例としては、やはりもともとイノベーション志向の強い会社が多いが、どの会社もかなりの苦難を乗り越えて実現している。共通してみられる特徴は、①経営陣の理解とコミットメント、②オープン・イノベーション専門部署や担当者の設置、③それらを後押しする体制・仕組みづくりを進めているという点だ。

事例1 オリンパス株式会社
「オープンイノベーションから生まれた『OLYMPUS AIR A01』」

オリンパスは、Hack&Make Projectと銘打ったオープンイノベーション活動を実施。プロジェクトメンバーは、2011年にMITメディアラボ(マサチューセッツ工科大学 建築・計画スクール内の研究所)に参加。MITの研究者や学生ら外部コミュニティとのつながりから、オープンプラットフォームカメラ「OLYMPUS AIR A01」を生み出した。

参考 https://opc.olympus-imaging.com/

事例2 ソフトバンク株式会社
「数々の商品化が検討されているイノベーションプログラム」

ソフトバンクは、4000万人を超える個人と43万社の法人顧客の顧客基盤、モバイルネットワークおよび40万を超えるアクセスポイントを持つWi-Fiといったネットワーク・インフラを持っている。そのリソースを活用し、革新的なソリューションや技術を世界の企業から募集、商用化を検討・実現するプログラム「SoftBank Innovation Program」をスタート。2015年7月の第1回「SoftBank Innovation Program(ソフトバンクイノベーションプログラム)」では、国内外の企業8社と協業し、5つの案件でテストマーケティングを実施。2016年8月の第2回では、国内の企業3社と協業、3つの案件をテストマーケティング。それぞれ商用化を検討することになった。単なるアイデア大会ではなく、すぐに商品化を検討するところがポイントだ。

参考 https://www.softbank.jp/biz/innovation/

事例3 富士フィルム株式会社
「数々の商品化が検討されているイノベーションプログラム」

写真フィルムなどで培った多くの技術を活かし、化粧品や医療機器、高機能材料など幅広い事業領域でビジネスを展開している富士フィルム。市場の変化に先駆けて新しい価値を社会に提供していくためには、ビジネスパートナーが持つ課題やアイデア、潜在的なニーズと自社の技術を結びつけ、画期的な新しい製品・サービスをスピーディに生み出すことが必要だという考えから、「Open Innovation Hub」(東京都港区)を2014年1月に開設。富士フイルムグループが80年にわたり蓄積してきた技術資産を社外のビジネスパートナーに説明し、新たな価値を「共創」する場として、開所からわずか2年ほどで既に約750社4,000人が来場。同社にとって未来を拓く重要拠点となっている。

写真:Open Innovation Hub 東京都港区赤坂9-7-3 東京ミッドタウンウエスト2F
参考 http://www.fujifilm.co.jp/rd/oih/

単なる「ごっこ」で終わらせないために

漠然としたアイデアを求め、アイデアソン(アイデア+マラソンの造語)に期待をかけてオープンイノベーションに取り組む場合、多くは失敗することになる。例えば大企業とベンチャーとのコラボレーション会議をする場合も、結局はベンチャーから大企業に対する売込みで終わることが多い。逆に「なんで大企業の成長や売り上げに貢献しないといけないのか」と考えるベンチャーもいるだろう。結局大事なことは、どんな世界を創り出したいかを明確にすること。そのビジョンがあればこそ、関わるメンバーにとって魅力あるプロジェクトになり得る。
また、取り組みによってアイデア自体は多数出てくるだろうが、問題はアイデアの創出ではなくて選定。真に独創的なアイデアは、生まれたての時点ではクレイジーな印象があり、具体性に欠けている場合が多いことから批判好きな人間に潰されがちだ。ただただ批判するだけで自分の存在感を示そうとする人間はどの会社にもいるものだ。最も重要なのは、プロジェクトリーダーの質だ。そのひよっこアイデアの真価を見抜き、それを最後までやり抜く強い心を持った人間が必要とされるのは間違いない。


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